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記事詳細

マセラティ F1マチッククラッチトラブル

2011年02月11日

マセラティクラッチトラブルレポート

最近以下のトラブルにより緊急入庫する例が増えていますので症例と交換の様子を交えながらご紹介いたします。

これはクーペ、グランスポルト、クーペ、クアトロポルテのF1マチック全ての
車両で同様のトラブルが出ています。
今回は走行21000k、05年式のグランスポーツでの症例でご紹介します。





症状は以下の通りです。

(1)ニュートラルからギアを入れようとするが、入りそうで入らない。
(2)ギアが入っても殆ど前に進まず、半クラッチのまま回転だけがあがる。

ギアが入らないことから、一見カンビオポンプのトラブルと誤診をしてしまい
そうですが、カンビオポンプが完全に壊れた場合は、殆どの場合メガヒューズ
飛んでしまうため、ギアは全くはいりません。
ドアを開けたときの「ウイーン」という高周波の音も聞こえなくなります。

今回の症例は中々ギアが入らないが、ポンプは一生懸命ギアを入れよう入れよう作動しているため車がガクガクと前後に動きます。

ではトラブルの原因を追っかける様子をレポート致します。


今回のトラブルでは、ギアは入るけど常に半クラッチの状態が続くため
クラッチの摩耗又はスラストベアリングの作動不良によるものと診断し
作業を進めました。

メンテナンス日記でもご紹介致しましたが、クラッチ関連のメンテナンスを行う
には下の写真の状態から、マフラー、トルクチューブなどを全部外す必要が
あります。


トランク内のスペアタイヤ置き場(通称バケツ)を外します。



外すと下の写真の様に上が丸見えになります。



マフラーを取り外し、トルクチューブ(通称大砲)を外します。



全てを取り外すとこのようにスカスカになります。
参考までにこの車はEURO4対応ですので、エキマニにキャタが
付いているタイプです。堀口の頭に上の左右にある大きなのが
キャタです。(一般的には06年以降の車がこのタイプです)



全てを取り外し作業を終え各パーツを確認していくと。



クラッチのダイアフラムスプリング(下の写真の三角形の部分)が・・・・・
本来等間隔であるのが乱れているのがわかりますか?



更に分かりやすい写真にすると

一本高さが明らかに違うのが分かると思います。


斜めからの写真では更に分かりやすいと思います。


上から見ると等間隔のものが完全にくっついてしまっています。


何故こんな事になったのか検証してみると
根本が折れていました。金属疲労によるものと思われます。



機能を簡単に説明すると、スラストベアリングがこの曲がったダイアフラム
スプリングを押しクラッチをつないだり、切ったりしています。
曲がった方向の先にクラッチ板がありますので常に押された状態になり
クラッチが切れずに半クラのような状態になっていました。

この車はクラッチが切れずに焦げる臭いがしていましたが、何とか走れる状況
でしたが、先日入庫したクアトロポルテはバラさなくても目視でスラストベアリン
グの異常が確認するほど曲がっていました。

今回更にもう一つトラブルが
こちらも経年劣化でバネが折れていました。



これはスラストベアリングのリリースベアリング部分のバネです。
錆が出ているのですがかけらと共に出てきました。


今回はスラストベアリングとスリーブそして折れたバネを交換しています。




そして今回のトラブルを目の当たりにした、S様は予防メンテナンスも
しないとまずいのではとの事でカンビオポンプとホースの交換も実施しました。

06年式ですのでほぼ最終モデルのグランスポルトですがカンビオホースの
劣化によるひび割れはかなり酷い状態でした。



ホースは当社オリジナルを採用させて頂きましたが、メカニカル的に
詳しい方ほど当社製品を評価頂け、皆さん純正品と比較の上当社
製品をチョイス頂き、お陰様で初期ロットは完売となりました^^
それだけカンビオポンプのトラブルも多いと言うことですが・・・・



今回交換させて頂いたパーツは以下の通りです。


簡単なトラブルシューティングを記載してまとめます。

1,ギアが入らない、何とか入っても半クラッチの状態が続く時
  上記トラブルを疑ってください。
  出来れば安全な所に止めてレッカーを呼ばれる事をお勧めします。
  当社でも積載車でお引き取りに伺うことは可能です。不動車もOK。

2,クラッチの摩耗の確かめ方
  一番分かりやすいのが、アクセル全開の3速、4速のままレブリミット付近
  でシフトアップを行った時に、ガツンとクラッチがつながれば問題ありませ
  ん。滑っている場合は、まったりとつながりますのでそうなった時は交換を
  お勧めいたします。

3,カンビオポンプ不良
  完全に止まるまでにギア抜けの症状が出るはずです。
  連続してギア抜けが出始めたら不動になる寸前ですので安全な場所に
  止めることとをお勧めします。
  ギアを入れても入らない時は、ドアを開け締めを行ってください。
  ポンプの「ウイーン」という高周波の音が出ていればポンプは動いていま
  す。過去の事例の中で、誤ったオイルを入れたいた事によるトラブル及び
  オイルの劣化によりポンプが作動不良を起こしていたケースもあります。



当社にお越し頂いたお客様の声で、カスタマイズだけでなくメンテナンスも行っ
てるのですか?と聞かれることが増えました。
しっかりメンテナンス、車検、点検整備全ての作業を行っておりますので何なり
とお問い合わせください。

お問い合わせ先
TEL:045−849−3031
mail:info@miracolare.co.jp

まで。

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