マセラティギブリBcRacing車高調整Kitセッティングレポート
2017年11月25日
当社で取扱う製品はしっかりテストを行なって、良い物だけをお勧めするようにしております。極端な話お客様から装着を依頼されてもテスト結果が良くない製品は取り付けをお断りするケースもございます。
特に足回は車とドライバーの好みに合わない程苦痛なものはありません。実際私もあの車に乗ると運転中に車酔いしてしまう事があります。
マセラティの中でもギブリのようなスポーティーセダンはドライバーの好みと使用する環境が多種多様である為、幅広いオーナーの要望にお応えできる様にしておく必要があります。
素晴らしいと言われる車高調Kitでも、サーキットに特化した製品は、サーキットで使用するから素晴らしいのであって普段使用するにはヘビーなケースも多々あります。無論その逆も然りです。
どんなに優れた製品でも使用する条件で合う合わないがあります。
今回は街中で楽しく、安全に速く、しかも快適に走れる足にセッティングする事が出来るかにフォーカスをあてテストを行ないました。
テストの結果は予想を遙かに超える良い製品で、皆様に自信を持ってお勧め出来る車高調でした。(但しキチンとセッティングを行なった場合)
以下にテストレポートを合わせて報告させて頂きますので長文になりますが拝読頂ければ幸いです。
マセラティは昔からカタログの写真と現車を比べると大きく違う箇所があります。カタログに掲載されている写真の車高と現車の車高が明らかに違うことです。カタログではホイールのアーチとタイヤの隙間が程よくなっておりますが、何故か現車は拳が1個入ってしまう程の隙間が空いております(笑)
決してクレームを言うわけではありませんが、その差が大きいので購入された方は口を揃えていくら何でも酷すぎると、10年以上前から当社にクレームを言ってきます^^
これはクーペ、クアトロポルテ、グラントゥーリズモ、MCストラダーレとこ02年から発売された全ての車が対象になります。
現行ののギブリとクアトロポルテにおいても、あと2cm隙間が狭ければ何もしなくて良いのにと車を見る度に強く思います。
ノーマル時車高 front
指が4本楽に入ってしまいます。
リア
写真を見ての通り、マセラティは性能よりもまずスタイリングから足回りを変えたいと思う方が多いのはここに大きな理由があります。
性能から足回りを検討する場合、どのようなケースで使うので、こんな仕様にしたいと考えてチョイスしますが、スタイリング優先で車高を落とす場合、
取りあえず車高を落としたい=一番安いローダウンスプリングを選んで装着=失敗というケースが多いです。
失敗例ですが、成功への入口の扉を開けたとも言えます。
なぜなら何も考えずにローダウンスプリングを装着すると、どうなるのか?が身をもって体験できるからです。
何も考えずにローダウンスプリングを入れると?
・高速で跳ねて怖くて踏めなくなる
・ゆっくり走っていても揺れが激しい
・家族からクレームが出る
→ショップに相談。
→車高落としたら乗り心地が悪くなって当たり前です。
昔のシャコタンなんて跳ねてたじゃないですか!
カッコ良いんですからそのまま乗ってください
で終わりが一般的なパターンだと思います。
まさに昔のシャコタンみたいな乗り心地のバネが多いのも事実です。
乗り心地と性能を気にせずに車高のみを落としたいのであれば、スプリングをカットするだけで作業は完了します。
でも踏めば300km近く出るハイパワー車のギブリでそれはありえません。高速道路では80km位からピッチングが出始め、120kmを超えると助手席でコーヒーが飲めなくなるような足も数多く存在します。
一般道で40kmくらいで走っていても上下のピッチングが激しく気持ち悪くなるような車も多々見ました。
又純正の足回りでスカイフック付き車両では、サスペンションの設定をhard側に切り替えると硬過ぎて、ショックが上手く動いてくれなくなり高速では結構跳ねてしまいます。
ゼロスタートから全開ダッシュをすると、どこかに飛んでいってしまうような恐怖感と緊張感が襲ってきます。
これは足の設定がスポーティーな仕様風(勝手命名)にしている為です。もう少しキチンと動いてくれるしなやかなセッティングにしてくれないかと思うのは私だけでは無いと思います。
どうせ変えるのであれば、スタイリングは当然+走りと乗り心地も満足出来る仕様にするのが、大人のたしなみだと思います。
そんな思いを持ってお客様に足回りの提案をさせて頂いております。
話は長くなりましたが、
今回テストしたBCRacingの車高調整Kitは、他のマセラティの車高調整Kitと比較するとかなりリーズナブルで店頭価格で267,840円(キャンセラー無し)スカイフックキャンセラーありで334,800円となっております。
全長式車ですので、プリロードを固定したまま車高調整が可能であり減衰力調整も30段階とかなりの設定幅があります。安かろう悪かろうでは当社のコンセプトに合いませんので様々なシチュエーションと速度域でテストを行いセッティング致しました。
メカニックから装着完了後構内で動かした感覚が、メーカー指定数値では柔らか過ぎると感じたので、固めに設定しました!との報告が
早速テスト走行を開始です。一発目は西村がインプレ。
自転車競技を7年間本格的に行なってきたこともあり、車に対する感覚も良い物を持っています。現在沢山の車に乗ってセッティングの勉強中です。さてどんなインプレになるのでしょうか?
西村のインプレ
メカニックと同様に足が柔らか過ぎて落ち着かない。
もう少し固めに設定したい。
ハンドリングがもっさりしていてスポーティ感が薄くなったとレポート。
二人とも柔らか過ぎると感じる足。
かなりコンフォートの仕様なのかと思いながら、メーカー指定のお勧めセッティング、バネレート、現在の減衰調整位置の情報は入れずに交代してテスト走行開始。
確かに跳ねる。ピッチングが酷くフロントが小刻みに上下しまくる。
二人の話からもこれは使えない足だなと高速に入る。
速度が上がるにつれて落ち着きを見せ始める。
しかし路面が荒れるとバタつく。
ハードブレーキングをしても姿勢を乱さない。
うーん、、、これは柔らかいのでは無く、硬過ぎて挙動が安定しないのではと設定変更。初めての車高調なので、1クリックでどれくらい変化するか分かりませんが、過去の経験を元にフロントのみ大きく減衰力を変更すると、かなり良くなりました。
40km以上の安定感がUP
ゼロ発進からの全開スタート時にハンドルが取られるようなフラツキが解消し安心してアクセルが踏めるようになった(ノーマル対比も含む)
しかしながらネガティブな面もあります。
40kmで一般道走行中、ピッチングが酷く運転していて疲れる。
何が悪いのか感覚を研ぎ澄ませながら乗っていると先程は気にならなかったリアからの突き上げと振動が大きいことに気付き、リアの減衰力をダウン。
今度は1クリックでどれくらい変わるかの感覚を覚えたく細かくセッティングを行い良い感じになったので、西村に確認のテスト走行に行かすと、「全然違う車になってました!」
柔らかいと思っていたのは間違いで硬かったんですね。
足回りは奥が深いですと^^
違いがと良い物がしっかり理解出来るので、今後沢山乗って経験していけば良い商品のご案内が出来るドライバーになりそうです^^
更にお客様の多種多様なご要望にお応え出来る様に、セッティングを変えてテスト走行を行ないます。
沢山のシチュエーションでテストした結果、3つの基本セッティングパターンが出来ました!
1,スポーティーな仕様
高速を主に走る方にお勧めの仕様。
40km以下で走行中にピッチング(上下振動)が生じますが、ハードブレーキングでの挙動の安定性と高速粋でガンガン踏めるセッティングです。
2,標準仕様
低速域で若干ピッチングは残りますが一般道から、高速まで楽しく走る事が出来る野田一押しの仕様です。
3,柔らかめの仕様
この足柔らかすぎです!とファーストインプレッションで感じた西村がチョイスしたのが一番柔らかめのセッティング。
家族を乗せて走られる方。市街地を中心に走られる方にお勧めの足です。柔らかいだけだけでなくキチンと踏める足ですのでご安心ください。全開にした時にサスペンションが吸収してくれるので、怖さを感じないと思います。(車が遅くなった様に感じるくらい安定感が増します)
長くなりましたが、足回りのセッティングはいつも頭を悩ませます^^
これから乗り込んでいくうちに更に設定は変わっていく可能性はありますが、自信を持ってお勧め出来るセッティングプログラムが出来コスパが高いお勧めの商品です。
足回りは誰でも簡単に装着できますが、装着して終わりではありません。他社でサスペンションを装着したんですが、自分が思っていた様なセッティングにならないので助けてくださいとかなりの件数の依頼を受けます。
足回りはセッティング次第で大きく印象が変わります。
決して安い買い物ではありませんので、折角装着するのであれば万全にして乗りたいですよね。
今回ご紹介したBCRacing以外にもKW車高調整Kit。当社オリジナルBERTOCCHIローダウンスプリングもご用意しておりますので、お客様のご要望に合わせてベストな物をご提案させて頂きます。
お問い合わせは info@miracolare.co.jp までお気軽にご連絡ください。
株式会社ミラコラーレ
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