マセラティクアトロポルテスポーツGT Duo 車検整備
2013年09月22日
マセラティクアトロポルテスポーツGT 車検整備 クラッチ交換他
都内在中のK様、ビアンコフジのとても美しいクアトロポルテ車検で入庫頂き
ました。今回の車検でしっかりメンテナンスを行い、良い状態で乗っていきた
い!と要望を頂きましたのでご紹介致します。
今回の整備内容は以下の通りです。
1,24ヶ月法定点検、整備
2,油脂類
・エンジンオイル、ブレーキフルード、トランスミッションオイル、
パワステフルード交換
・冷却水
3,消耗品交換
・エアエレメント、ポーレンフィルター
・ドライブベルト、ドライブベルトテンショナー、ドライブベルトプーリー
・リアブレーキパット、リヤディスクローター
・フロントタイヤ交換
4,メンテナンス
・クラッチ交換
・タペットカバーオイル漏修理/プラグ交換
・右リヤスモールバルブ交換
・フロントショックロアブッシュガタ修理
・リバースTバー破損
5,その他
・ipod コネクター取付け
・4輪アライメント
ハンドリングが高速でふらつく & Fタイヤ片べり
1,クラッチ交換
テスト走行ではまだ滑った感じは無かったのですが、
テスター診断の結果残量が25%と少なかった為、最近導入した内視鏡カメ
ラにてスリットを再確認した所摩耗が激しかったので交換致しました。
マフラーを取り外し、トルクチューブを下ろしていきます。
トランスアクスルを切り離します。
トルクチューブを下ろします。
ベルハウジングを外すと、クラッチが顔を出します。
クラッチの中心部のスプリングに錆のような跡が見えると思います。
スラストベアリングが押す部分です。かなり強い負荷が掛かる部分です。
この車はスポーツGTです。
クラッチを見て何か気づかれた鋭い方もいるのでは無いかと思います。
スポーツGTのクラッチはスプリング部分が折れないように対策加工されて
いるのですがこの車は前期と同じ形状のスプリングが装着されていました。
そしてこちらが今回装着したクラッチです。
スプリングの根本部分をご覧ください。
後期型のクラッチではスプリングの根本部分に力が逃げるような加工がして
あります。
写真:前期クラッチ
フライホイール
こちらもかなり焼きが入っていました。
交換パーツ
使用済みクラッチ
スリットが浅くなっているのが分かると思います。
ディスクは炭化しており、ここから先は一気に崩れるように減っていきます。
ブレーキパットも同じような原理です。サーキット走行をされている方であれば
分かると思いますが、半分くらいまで使用するとそこから先は炭化して一気に
崩れ、あっというまに無くなってしまいます。
パイロットベアリング
新品と比較するとかなり変色しているのが分かると思います。
指で回すとゴリゴリと大きな違和感が発生していました。
各部パーツを新品に交換していきます。
フライホイール
規定トルク値で各ボルトを締め付けます。
以前締め付けトルクに関して本当に大丈夫か心配になった堀口が夜中に
バラして再確認した事から今は交換する車全て確認の為に撮影をしておりま
す。
クラッチ
対策品のクラッチに交換しております。
残念ながらこのクラッチ厚みが異なるため前期モデルには装着が出来ませ
ん。対応車種はスポーツGT、エクゼクティブGTと一部4,2後期モデルのみと
なっております。
ベルハウジング内部のパーツを組み付けていきます。
スラストベアリング
クラッチセンサーのマグネット
をかなり強力な磁石です。ロード乗りの方は使用済みの物をケイデンスセンサー用に使用すると
ばっちりです^^ 交換した物は沢山ありますので試したい方はお声掛けください。
スラストベアリング
クラッチセンサー
ベルハウジング内部
スラストベアリング、クラッチセンサーを組み付けます。
クラッチセンサー
カンビオポンプを交換します。
ポンプは交換履歴が無く音が弱くなっていたので交換致しました。
左:使用済みポンプ 右;新品ポンプ
カンビオホース
ホースも亀裂が入っていましたので交換しております。
最近カンビオホース以外のカンビオオイルラインの劣化によりオイル漏れが
発生しているケースが増えております。
こちらもオリジナルのシリコンホースでメンテナンスさせて頂いております。
コストダウンだけでなく、耐久性もアップ致しますのでお勧めアイテムです。
以上で作業は完了です。
トルクチューブを装着します。
以上でクラッチ廻りの作業は完了です。
タペットカバーエンジンオイル漏れ
この部位からのエンジンオイル漏れは触媒に垂れるケースが多く危険なた
め滴っる程漏れがある時は交換をお勧めしております。
こちらがパッキン(ガスケット)になります。
ヘッドカバー取り外し時、綺麗にクリーニングさせて頂きます。
お客様によっては、ヘッドカバーを綺麗にしたいので早く漏れないかなと・・・
云われる方も多いですが、漏れない方が良いので^^
左:清掃前 右:清掃後
ご覧の通りピカピカになりました。
逆バンク側
エンジンルーム内全般を磨き上げるとこんなに綺麗になります。
写真はまさしき、Before、Afterの典型的な例題のようになりました。
ドライブベルト、テンショナー交換
タイミングベルトからチェーンになった事でメンテナンスフリーになりましたが
ドライブベルトは定期的なメンテナンスが必要です。
今回もベルトが劣化しひび割れが起きていましたので交換しています。
新品のベルトとテンショナー
交換完了です。
エアークリーナー
汚れ具合が良く分かると思います。
ポーレンフィルター(エアコンフィルター)
フロントショックロアブッシュガタ有り
走行中段差を乗り越えるとコンコンと異音がする為ブッシュ交換を行い
ました。
作業はショックを外して行います。
ブッシュはショックの一番根本に付いています。
ブッシュの取り外しを行います。
センターが大きくずれているのが分かると思います。
新品と比較するとブッシュの劣化によりボルトが斜めになっているのが
分かると思います。
又本来固定されている物が指で簡単に動いてしまいます。
新品パーツ
これでガタが無くなり、無事異音も消えました。
リアブレーキパット/ローター交換
ローターの摩耗が激しくパットもかなり減っていたため同時交換致しました。
交換前のローター
新品ローター
スポーツGTはドリルドタイプが標準です。
現在お勧めしているパットは、純正ブレーキパットの価格は1/3で
効きもかなり良くなるお勧めパットです。
ブレーキ鳴きも殆ど発生しませんのでご安心ください。
サーキットユースではより耐熱性が高い物となりますので別途ご相談ください。
リバースTバースイッチ不良
バックに入れる際に本来は引き上げてから後ろに下げるTバーですが
壊れて引き上げずにバックに入ってしまう車両が増えております。
購入された時から壊れている車両も多くこんな物?とそのまま使用されてい
る方も多いですが、バックに入らなくなる、エンジンが始動できなくなる等の
トラブルになりますので、早めに交換されることをお勧め致します。
今回の車両は根本部分でなくTバー本体が折れ掛かっておりました。
以前完全におれてしまった方はペンチでひっぱりバックに入れるという
男前な方もいらっしゃいましたが、かなり強い力が掛からないとここまで
なりません。
殆どのケースが、ガソリンスタンド、ゴルフ場で車を預けた際に無理矢理
バックに入れようとして壊されてしまう事が多いです。
以上で今回の作業は全て完了です。
納車後インプレを頂きましたのでご紹介致します。
「車を受け取ってからすぐわかったのは振動が減ったことです。タイヤの
突き上げがなく、おとなしくなりました。段差の乗り上げは以前よりも格段
にあたりが柔らかいです。
ブレーキの感触は良いですね。軽く踏めば軽く効き、踏み込めばグッと効
くという感触がわかりやすいです。
いずれECU等の検討もしています。さらにスムーズになることと思い、今
から期待しています。」
K様ありがとうございました。
今後も宜しくお願い致します。
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