マセラティクーペクラッチ交換＋アライメント
2012年11月28日
静岡県からお越しいただきましたM様。
以前バックに入らなくなるトラブルで入庫頂き、メンテナンス後完調になった事
で信頼頂き、再度入庫頂きました。→前回の紹介記事はこちらから←
今回の症状は発進時のジャダーとクラッチの滑りです。
では作業内容をご覧ください。
１、トラブル内容
走行中にエンジンが温まってくると、クラッチのつながりが悪くなる。
２，作業内容
テスト走行及びテスター診断、目視での確認にてクラッチが摩耗している事からクラッチ交換を主にさせて頂きました。
（１）クラッチ、カンビオポンプ交換
（２）エンジンマウント、ミッションマウント交換
（３）車高調整、４輪アライメント
（４）エンジン、ミッションオイル交換
（５）ウオーターポンプ水漏れメンテナンス
納車後早速M様より、コメントを頂きましたので紹介させて頂きます。
「昨日は、ありがとうございました。
またミラコラーレマジックを使ってくれましたね！
温まると調子が悪くなる件ですが、あれから家まで4時間ぶっ通しで
走りましたが、全く調子を崩さずというかむしろ格段にアクセルフィーリ
ングが良くなってました。
エンジンかコンピューターをこっそりいじってくれたのかな〜と思うくらい
です。長年悩まされていたことだったので本当に嬉しいです（＾−＾）
ハンドリングも、アライメントでここまで変わるのかというくらい変わり
ましたね〜。
いままで高速コーナーでの怖さがさっぱり消えむしろ楽しいくらいです。
診てもらうと必ず良くしてくれるので皆さんには感謝、感謝です（＾◇＾）
これからも自分の車とメンテナンスや修理を嫌だな〜と思わず楽しみな
がら長く付き合っていこうと思います。
なのでこれからも宜しくお願いします」
M様コメントありがとうございました。では作業の様子をご覧ください。
今回の作業内容は切り口を変えて一般メンテナンスを中心にレポート致します。
１，エンジンマウント交換
特に劣化が酷かったエンジンマウントの交換からご覧ください。
年式は０２年式、走行８万キロで一度も交換していないとこうなりますと
云う見本になりそうな状態でした。
写真の通り、劣化によりひび割れが発生しております。
もう少し交換しなければ、マウントが切れてしまう所でした。
最近エンジンマウントの劣化が原因で異音、振動のトラブルが多発して
おります。 劣化の状況はリフトアップすれば、目視で確認出来ますので、
５年以上経過しているお車であれば、点検することをお勧め致します。
当社に入庫頂いているお客様はエンジンオイル交換時等に下回りを含めて
点検させて頂いておりますので、ご安心ください。
写真左:新品エンジンマウント 右：交換前マウント
左右の高さの違いが劣化です。
今回のマウントは２コとも同様な状態でした。
左：エンジンマウントを取り外した状態 右：新品装着後
２，ミッションマウント
セミオートマでは気づき難いですが、マニュアルではエンジンマウント、ミッシ
ョンマウントの劣化でギアが入り難くなる事もあります。
セミオートマは人間と異なり、多少の違和感があっても途中でやめたり、リト
ライをせずに無理矢理ギアを入れてしまいます。
この時に様々な箇所にテンションが掛かりトラブルの原因になります。
又エンジンが下がってしまう事で、ハーネス、配管等に予想外のテンションが
掛かる事でトラブルの原因となっているケースも見受けられます。
マウント内部にはオイルが封入されています。
ゴムが劣化すると硬化し弾力性が無くなり、振動を吸収しきれなくなり
異音などが発生していまいます。
裏側から指で押すと、新品と劣化したものは弾力性の違いに驚くとと思いま
す。
３，ミッションオイル
マセラティのセミオートマ車両はトランスアクスルの為、ミッションオイルの劣化
が非常に早いです。当社ではエンジンオイル２回に１回の割合で交換をお勧
めしております。距離にして８０００ｋｍを一つの目安にしていただければ幸い
です。
下の写真をご覧ください。本来ミッションオイルの色は褐色ですが透明感が
あります。写真では幾何学模様の様になっていますが、金属粉がラメラメと
なっているのが見えると思います。
ミッション、デフ内で発生した、削れ粉です。
ドレンボルトにマグネットが付いています。
マグネットにも金属粉が大量に付着しています。
ミッションオイル交換後はギアの入りもかなりスムースになります。
クラッチのスプリング折れの要因にもなりますので定期的に交換を
することをお勧め致します。
ミッション、デフはパーツ代も凄く高いのでご注意ください。
４，ウオーターポンプ水漏れ
今回は早期発見の為漏れ止め剤にて対応しております。
漏れが止まらない場合は、ウオーターポンプの交換になってしまいますが
オイルポンプと一緒の為、部品代もかなりの金額になります。
又作業もエンジンを半分降ろして、補記類を取り外しての作業になるため
時間も超すとも掛かってしまいます。
今日ご来店頂いたお客様が面白い表現をしていました。
エンジンのオイル漏れで入庫頂いたのですが、人間の病気と同じように
早期発見であれば、簡単な治療で治るところを、放置し時間が経過すると
悪化してしまうんですね。軽ければ薬で直るのに、開腹手術をしたり大がか
りなオペになってしまう・・・・・・人間も車も同じですねと。
最初はこれくらいの漏れですが、放置しておくと漏れ止め剤（薬）では
直らなくなってしまいます。
５，車高調整、アライメント
直進安定性が悪く、高速コーナーでは怖くて踏めないとの事で
車高調整と４輪アライメント調整を行っています。
今回はローダウンは行わず、走行性能をアップさせる為を主目的に、車高調
整を行っています。
車高調整式のマセラティは、何故か左右で車高が違っていることが多いです。
この車も左右で１ｃｍ車高が違いました。
たかが１ｃｍされど１ｃｍでこの違いはハンドリング直進安定性にも影響しま
す。
シムを入れて調整します。
調整後は、冒頭のコメントにもありました通り、アンダーステアが消えとても気
持ち良く走れるようになります。
ノーマルのままでもセッティングだけで、かなり走りが変わります。
騙されたと思って一度やってみませんか？
６，クラッチ、カンビオポンプ交換
走行中につながりが悪くなり、滑りもかなり出ていました。
目視及びテスターでの残量も無かった為交換しています。
クラッチ交換はマフラーを含めて写真に写っているパーツを全部
取り外して行います。
トルクチューブを下ろすと、ベルハウジングが見えてきます。
ベルハウジングの中に、クラッチ関連のパーツが全て隠されています。
写真右：ベルハウジング内部
交換したパーツ一式
左；フライホイール 右：クラッチ
左：スラストベアリング、F１センサー 右：カンビオポンプ、ホース
左：交換前 右：パーツ交換後
スラストベアリングの動きが悪いと２段発進したり、ロケットスタートしたりしま
す。クラッチの残量があってもスラストベアリングの動きが悪いと発進時に神
経を使うようになってしまいます。
この組込が後々大きな差となって表れる部分です。
左：フライホイール 右：クラッチ
カンビオポンプのトラブルにより、ギア抜けなどが発生し最後は不動と
なってしまいます。
今回は作動音が弱かった為、交換しております。
カンビオホースも劣化しひび割れが大きかったためオリジナル品に
交換させて頂きました。
以上で今回の作業は完了です。
M様遠方からのご来店ありがとうございました。
今後も宜しくお願い致します。
マセラティクーペのクラッチ交換、メンテナンスに関するお問い合わせは
ミラコラーレまで遠慮無くお問い合わせください。
Tel：０４５−８４９−３０３１
mail：info@miracolare.co.jp
☆まだご紹介記事が書けていないお客様申し訳ございません。
順次アップさせて頂きますので今暫くお待ちください。