2018年 ParisModena参加レポート2 アルプデュエズアタック
2018年09月13日
ParisModenaは日本では経験できない様々な事に触れ合う事が出来ます。
自転車というツールは人との結びつきを通常よりも早くそして深くしてくれる素晴らしいツールでもあります。
例えば今回のルートをバス旅行で廻ったとしても今回の様なフレンドリーな関係は間違い無く出来なかったと思います。
昼間辛い山岳コースを自分の力だけで上る!その苦しさと完走した時の達成感は人種、国に関係無く平等に分かち合えるから、皆が認め合いチームが出来上がっていきます。
その苦しくも楽しかった行程をご紹介致します。
地図の上でパリからマセラティのファクトリーがあるモデナまでの距離を調べると約1200kmあります。
これを五日間で走ると一日の平均走行距離は240kmとなります。
平坦なコースを集団走行するだけであれば走りきれると思いますが、山岳コースを主体にしたコース設定であれば確実にアウトです。
今回は途中車、バスを使用しましたので5日間の走行距離は450km。
一日の平均距離は90kmと予想より遙かに少ない結果でした。しかし獲得標高は8100m。平均獲得標高は1620m/dayと毎日登りしかありません。
獲得標高とは実際に上った高さを表すのですが、ミラコラーレを出発して三浦半島を一周時計回りで走ると距離で100km。獲得標高は650m程度です。極端な話ですが1620mを上るには三浦半島を2周半する必要があります。
このイベントの2週間前に新潟県の佐渡島を一周しました。一周すると距離210km、獲得標高が1,700mですので、走行距離90kmで1600mの獲得標高は基本上りか下りしかなかった事が理解頂けると思います。
6月8日(金) CHONAS L'AMBALLAN→150km(Car)→Mens→74.5km→ALPE D'HUEZ
ツール・ド・フランスで名場面を生み出したアルプデュエズ。
コースレイアウトは2413m登り→1328m下り→1866m登り→563m下り→943m登り。
サイクルコンピューターの実走データでも走行距離75km、獲得標高2200mと初日からとんでもないコース設定です。
ツール・ド・フランスでもこの「ラルプ・デュエズを制するものは総合優勝を果たせない」というジンクスがある難コースです。あまりにも苛酷な山岳ステージであるため、ここで全力を出してしまうと後のステージがキツくなるためとそう言われております。
出発前の記念撮影 「Photo by Frederrik Herregods」
参加者の年齢層は40代、50代が最も多かったように思えます。最高齢は70代の方。
現役のオリンピック選手から元F1レーサー。そして世界的に有名な企業のオーナーと凄いメンツが揃います。
サポートライダーもツール、ジロで区間優勝した誰もが憧れる選手達、そしてイタリアナショナルチームの監督と豪華な陣容です。
スタート地点にはレバンテ、クアトロポルテそしてギブリが集結し、自転車のイベントとは思えないような華やかさです。
私達に用意されていたサポートカーはマセラティギブリ。
当然のことながら全てのサポートカーはマセラティで固められています。
一台毎に名前が貼られていますが、どうも私だけ姓と名前が逆になっていたようです。
スタート地点までマセラティで出発「Photo by Frederrik Herregods」
出発地点に到着後自転車に乗り換えスタートです。
ここに写っている車両の他に荷物、スタッフ搬送車両とかなりの台数が移動する事になります。
「Photo by Frederrik Herregods」
モーターバイクとマセラティが常に安全を確保しライダーを守ってくれます。
交差点を封鎖してくれるので一度も信号で止まることはありませんでした。
バイクと車の連携が絶妙なだけでなく止められる側も理解があり気持ち良く止まってくれます。
文化の違いの一言では片付けられない何かがあるのでしょう。
「Photo by Frederrik Herregods」
アルプデュエズアタック開始「Photo by Frederrik Herregods」
こちらが実際に走行したルートです。
。
サイクルコンピューターの標高データです。
1回目の休憩地点まではそれ程きつくも無く綺麗な景色を見ながら走っていきます。
「Photo by Frederrik Herregods」
「Photo by Frederrik Herregods」
自転車は車と違いウインカーがありませんので、集団走行する際は手信号と声で意思表示を行ないます。
日本ではこのようなイベントでは過剰な程、声を掛けたり場合によっては怒声が聞えてくる事もありますが、この集団内では驚いた事に誰も手信号も声も出さずに淡々と走行していきます。
峠を登ると下りの寒さに備えてウインドブレーカーを受け取るために一度止まりますす。
標高差が激しいので下りでは防寒着を着用しないと凍える程寒いです。
「Photo by Frederrik Herregods」
AS(エイドステーション=休憩所)
日本の休憩所ではオニギリ等ガッツリ系が用意されている事が多いのですが、ヨーロッパの方は身体の作りが違うのか休憩を必要とする事も無く、食事らしいものは用意されずにフルーツと補給食がメインになります。
アルプデュエズを上り始めます。
上っても上っても、どれだけ走ってもゴールが見えてきません!景色は絵はがきの様に綺麗だが写真撮る余裕は一切無し。
「Photo by Frederrik Herregods」
この頃になると口癖は、サポートカーを見つけると「How long?」いっこうさんではありませんがどんだけ!!!!と叫びたい気分です。
走っても走っても登りは続くし。標高が1800mを超えたくらいから息苦しさとと頭痛が酷くなってくる。
腰は爆発寸前でもう本当に降りてしまいたいくらい。「Photo by Frederrik Herregods」
ポケットに忍ばせておいた鎮痛剤を飲むと本の少しだけ楽に。。。
そんな過激なコースでもファミリーで登っている人達が沢山いて、追抜きの際は大きな声で「アレアレ」と応援してくれたり。
80歳は過ぎていると思われる方が古いクロモリで一心不乱に登っている姿を見て感動しながらも、果たして自分は今でも辛いのに20年後この坂をあの人のように登ることが出来るのだろうか?(チャレンジする心を持っていれるのだろうか?)と考えさせられたり。
「Photo by Frederrik Herregods」
後ろから追い付いてきた知らないサイクリストが、「ジャポネ?」と声を掛けてくれたかと思うと背中を押してくれたり。
「腰イテー!」と大声で叫びながらペダルを踏んでいると、知らない人が大丈夫?と背中を押してくれたり。
トレーニング中のプロ選手らしき人がまるで平地のような速度で抜き去っていったり。
沢山の暖かと驚きに触れる事が出来ました。
ここまで建物一つ無かったのが目の前にホテルが目に入ってくる。
ツールでも見かける建物が出てくるとゴールは近いとコーナーを曲がるがゴールは見えてこず。そのたびに心が折れ、サポートからは大丈夫か?こちらからは、あとどれくらい?の繰り返し。
そんなこんなしながら息も絶え絶えにゴール!
やったという達成感は無く、初日からメチャクチャ辛いし、身体ボロボロだし、時差ボケだし、明日走れないかもとぼやきながら初日は終了!
ホテル内で少し歩くだけでも酸素が薄いのか息苦しくなる。
ネットで高山病に関して検索し。明日どうしようかなと考えているとオートルートを完走した方からメッセージを頂戴致しました。
「僕も最初のオートルート挑戦の時、初日にリタイアしそうになりましたが、送り出してくれたくれた仲間の顔が浮かび死にそうになってゴールしたのを覚えています。終らない峠はありません。「初日が一番キツイですよね。3日目が終れば楽になりますよ。後の日の事はあまり考えずにその日に集中して頑張ってください」
このメッセージは本当に元気100倍となりました。
食事の時に迷惑を掛けてはいけないと思い明日は走れないかもしれないと伝えた所、「貴方のそばにはいつもマセラティが用意されています」と回答が来ました。
走れなくなる事は悪い事では無い。最初から諦めてしまう弱い心がダメなんだと。
チャレンジして行けるところまで行ってダメならばそこで助けてあげるよ。
だから今はまだ諦めるタイミングでは無いとのメッセージでした。
幸いな事に、この日パーティは無かったのでたので、翌日の栄養源を無理矢理身体に押し込み就寝となりました。初日からとてもハードでした。
1日目の走行距離75km 獲得標高2,234m
ミラコラーレで運営しているロードバイク専門店 pedalist!ミラコラーレと同じでかなりマニアックな運営をしております。
ショップにトレーニングルームを併設しております。
・全くの初心者の方が3年掛かって身につける事が半年で出来る様になります。
・インターハイ、インカレ、全日本選手権出場とレベルに応じたメニューを提供しておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
PedalistのFBページはこちらから→ここをクリック←
ホームページはこちらから →ここをクリック←
株式会社ミラコラーレ
横浜市港南区港南中央通7−18