マセラティTrofeoレース参戦レポート
2024年10月21日
マセラティTrofeoレース参戦レポート
富士スピードドウエイで開催したマセラティ祭り。今年で12回目となりました。
我ながら12回もよく続けてこれたと思いますが、全ては参加頂いている皆様のお陰です。
この場を借りて心から御礼申し上げます。
これからも可能な限り続けていきたいと思いますので、まだ参加したこと無いと言う方も是非ご参加ください。誰もが童心に返って心から楽しめる一日になると思います。
さてマセラティ祭りに合わせて仕上げてきたマセラティTrofeo。
4200クーペをベース車両としてマセラティが製作した生粋のレーシングカーです。
ポルシェのカップカーやフェラーリチャレンジと同じ物をマセラティが作ったと表現するち分かりやすいかもしれません。ヨーロッパで開催されていたワンメークレース車両で、当時1年契約でレース参戦者に貸与され販売はされていませんでした。残念ながらアジアではレースが開催されませんでしたが、当時のインポーターだったコーンズが2台正規輸入し販売しました。MC12と同じ時期に日本に輸入、販売されため、コーンズフェスティバルでトロフェオとMC12が同じレースで躍動する姿はとても華やかでした。
簡単にマセラティTrofeoに関して説明いたします。
・サーキット専用マシーンで行動は走れません
・サイドブレーキがありません。
・ロールバーがジャングルジムのように車内を張り巡らせています。
・ドライバーシート1脚のみで助手席には消火器が常設されています。
・鍵がありません。
・使われているパーツ等がクーペ、グランスポーツとは違う箇所が多いです。
・エアコンがありません。
・ガソリンタンクに100l入ります。
・軽量化の為フロントウインドウ以外はアクリルです。
・爆音過ぎて気軽にエンジンを掛けられません。(普段はクーペ用のノーマルマフラーを付けています)
・マニュアルで無くカンビオコルサのF1マチックです。
・ハンドルのロックtoロックが少なく、殆どハンドルが切れないため交差点は多分曲がれません。
・リアに大きな羽(ウイング)が付いています。
・エアージャッキが装着されており、一瞬でジャッキアップ出来ます。
・タイヤはスリックタイヤ装着
車検を取得し行動を走行する事は出来ませんが、車体ナンバー、型式等が記載された通関証明証はありますので、車検が取れるように保安基準を満たすように車を仕上げていけばナンバーを取得することは可能だと思います。こんな希少な車が昨年12月に縁あってにミラコラーレのデモカーとして新たに仲間入りをました。
走行距離も短く事故歴も無いためベース車両としては最高の一台でしたが、当社に到着した時はエンジンが掛からない状態でした。エンジンが掛かる状態にメンテナンスを行った後、サーキットを全開で走れる状態までに仕上げるには想像以上の時間とコストが掛かりました。
走行距離が少ないコレクターズアイテムあるあるで、殆どメンテナンスされていない状態でした。
点検を行うとメンテナンスが必要な箇所が出てくるは出てくるは本当に大変でした。
Trofeo専用パーツも多く、こんなパーツ手に入るの?と言う箇所もありましたが、国内だけで無く海外からも取り寄せ、完調な状態に仕上がるまで8ヶ月の月日が掛かってしあいました。冒頭に書いた通り、Trofeohaは国内に2台しかない希少車であり(内一台は海外に出てしまった可能性あり)、イタリアのマセラティミュージアムにも飾ってある世界文化遺産であると私達は思っております。安全に走らせるようにするのは無論の事、後世に残すために完璧に仕上げました。
折角頑張って仕上げたTrofeoをマセラティ祭りで走行するだけではもったい無いなと思っていたところ、同日に開催されるレースがある事を発見!
しかし!残念な事に予選はマセ祭りのコンテンツと被っており出走は不可能。
予選を走れないが何とかレースに出れないかと主催者に相談した所、最後尾からのスタートでレースを「盛り上げてくれるなら」とOKの返事を頂き!15年振りにレースに参戦しました。
参戦は決まってもドライバーは
・腕がなまっている(真剣に走っても15年前の10秒落ち)
・Trofeoでの走行はmagarigawaサーキット一回のみ
・出走台数30台以上の混戦の中本当に走れるのか?
等々色々と頭を駆け巡り当日まで出走を悩み^^
ドラミで参加者全員にレースに参加すること、
最後尾スタートから25台抜いて5位くらいになります!
と無謀な宣言をし自分自身へ強力なプレッシャーを掛けました。
まずは、アクティブ走行の先導で足慣らし。
メカニックが頑張って仕上げてくれたお陰で、車は完調になりましたが20年前の車です。
20年前の車がどれくらいのタイムで走れるのかワクワクよりもドキドキの多い中での出走です。
昔TrofeoをBERTOCCHI号で追いかけた時、コーナーで追いついてもストレートで千切られるの繰り返しで、何をしたらあんなに速くなるんだろうと不思議でした。ハンドルの形状からスピードメーターが見えないため、ストレートエンドで何キロ出ているか確認出来ませんでしたが、後続のMCストラダーレなどに並ばれることが無かったのでまずまずの速度が出ていたと思われます。
タイムアタック
新品のタイヤの皮むきと車に慣れるための走行タイム。あまり攻めるとレースに影響が出るためそこそこで走ります。探り探りで走行したのですが、ラップ毎に綺麗に4秒づつ速くなっていたとお客様からレポートを頂きました。徐々に攻めていきましたが最高タイムが2:01秒台と富士スピードウエイの指標である2分は切れませんでした。ちなみにこのタイムはBERTOCCHI1号(マセラティクーペGT)にSタイヤを履かせた時のベストタイムとほぼ同じです。
私自身が見せつけられたストレートの圧倒的な速さと、スリックタイヤのグリップ力を考えるとタイムはまだ詰まりそうです。個人で設定した目標タイムは55秒切り。あわよくば52秒台までいきたい所ですが、コースコンディションはセミウエットの為、タイヤの表面を見る限り性能が発揮されるレベルになっていませんでした。
レース決勝
タイムアタック終了後そのまま、パドックに向かい最後尾に並ぶ。
3列に整列されたマシーン達はかなりの台数です。
うーん25台抜くと宣言したのは間違いだったかと大きな緊張感とプレッシャーに襲われます。
そしてPitロードに移動し30台以上の車が一列に並ぶと先頭車両は遙か彼方。
ピットロードを出てウオームアップランスタート。
その時の動画はこちらをご覧ください。→ここをクリック←
軽く抜けると思っていた前の車達のコーナリングスピードが想定よりかなり速く、ヒラヒラと舞うように曲がっていきます。車重が軽いとこんなに動きが違うのか!と驚きながらスターティンググリッドに、、、、、、
スタートは昔から得意なので、ジャンプスタートを決めるべく気合いをいれ前を見た瞬間、、、、、
前の車の車高が高くシグナルが全く見えません(汗)
身体を右へ左へ上に下へと動かし何とかギリギリ見えた時にはレッドシグナル既に点灯中。
写真を見ても最後尾のTrofeoの姿は見えません。
いつもよりグリーンに変わるタイミングが遅かったのか、フライング車両が続出。
フライング車両に惑わされること無く、ブルーに変わった瞬間落ち着いてスタート。
スタートの動画はこちらから →ここをクリック←
コース上は車が多く首都高を走っているような感覚の中、前に上がっていきます、
自転車のロードレースに例えるとでゴール手前の集団内で位置取り合戦をしているような状態です。
スタートから1コーナー迄の間で5台くらい抜いたが、前後左右車に囲まれゴチャゴチャの状態。
いつもよりかなり手前からブレーキングを行い、クラッシュしないように注意しながら、ゆっくりと1コーナーを立ち上がります。(昔はこれが出来ずに、とにかく一台でも前に出ようと突っ込みクラッシュする事が多かったです)
車のパワーがあるので、一歩引いて安全なところで抜いていく作戦の元、コカコーラ-コーナー(Aコーナー)に侵入。インを付いてもうわーこのタイミングでとアウトから軽い車達が、被せてきたりと当たらないようにするのに大忙しです。彼らからすると、後ろから速い車が来ることは想定していないので当然の動きでもあります。
100R
ここはパワーの差が明らかに出るの所です。私的には散々授業料を払った鬼門コーナーですので序盤は慎重に入ります。トラコンが効いているのか、アクセルを踏んでも思ったようにパワーが出ず思ったラインに付くことが出来ません。トラコンOffにするのはまだ怖いのでONのまま走行を行います。
300R
ヘアピンからダンロップコーナーパワー差でごぼう抜きと思っていたのですが、団子状態でアクセルが踏めません。最終セクションも渋滞しており、最終コーナーを立ち上がりストレートに。
ストレートもかなりの台数がおり、前方では右へ左へラインを変えながらバトルを繰り広げています。
こんな時はヘッドライトオン!一瞬でもミラーにヘッドライトが目に入るだけで後方を気を使ってくれるだろうの思いを込めてます。
インにラインを変えアクセル全開!ここまでで15台くらい抜いたか。1コーナー侵入時はまだまだ渋滞というか皆様熱いバトルを繰り広げており、隙間を見つけてはノーズを入れて抜いていきます。
Aコーナー。2lap目もまだまだ沢山の車達が。
1コーナーを抜けてそのままアウトからAコーナーのインまで直線的なラインでインベタのままコーナーに侵入。前を走っている車達は後ろから来る車は反射的に抜かせたくないという思いがあるのか、ラインを塞ごうとします。無理に抜かずに立ち上がり重視の走りでパスしていきます。
裏のセクションも団子の中を上手くかいくぐり、ストレートで3番手までジャンプアップ。
ここからしばらくの間一人旅です。
車がいなくなったので、色んなラインを試しながら走行しますが、どうしてもトラコンの介入が気持ち良く走れません。タイムにかなりの悪影響を及ぼすように感じます。
車に慣れるまではトラコンをOFFにするのが怖かったのですが、ある程度慣れてくるとこの時代のトラコンの介入は邪魔でしかありません。安全でクラッシュする確率がかなり低くなりますが、コーナーの立ち上がりでアクセルを全開にすると失速。コーナリング中もアクセルを踏んでも反応しないなどデメリットしか感じず、ついに4lap目にトラコンOFF!(BERTOCCHI1号クーペGTでもトラコンは常にOFFで走っていました。)
トラコンOFF(MSOP)で即第一目標である2分切達成。
20年前の車でかつ還暦ドライバーが2分切れた事は正直嬉しかったです。
その後は快調にlapを重ねていきますが、周回遅れの車に引っかかり目標であった55秒切りはならずでしたが、気持ち良く周回出来ました。
Trofeoの快音はこちらをご覧ください。→ここをクリック←
レースの方は2位の車を射程に捉え抜けると言うところで、事故に発生により赤旗終了となってしまいました。
リザルトは総合3位、クラス1位と目標以上の順位でした。
ピットに戻ると、マセラティ祭り終了後にも係わらず殆どの方が残って応援してくれていました。
ありがとうございます!そして皆様とてもハイテンションにレースを語ってくれました。
話を聞いていて楽しかった事がビンビンに伝わってきて、レースに出て本当に良かったと心の底から思いました。パワーの差はあれど、最後尾から3位まで上がっていくマセラティの姿はかなり印象的だったようです。
私も有言実行出来た事、何よりもエンタテイナーとしての役割を果たせ安堵しています。
そしてやっぱり車は楽しいなと言うことを再認識し、これからもこの楽しさを皆様に発信していかねばならないという使命感を再認識した次第です^^
次回開催時も皆様に喜んで頂けるよう知恵を絞り、身体を張って頑張りますので、今後も宜しくお願い致します。
ミラコラーレ 野田
追1)スリックタイヤに関して
皆様スリックタイヤを売っている所ご存知ですか?
スリックタイヤは簡単には買えないんです。公道で使用する事を防ぐ為、通常私たちが仕入れを行っている商流では入手できませんでした。伝手を探った結果、ADVANとMichelinの2setが入手できたのですが、Michelinはなんと3月にオーダーを入れて納品は8月と5カ月も掛かりました。
Yokohamaは購入前に誓約書に近いものに、使用するレース名などを書く事で販売してくれました。
追2)レース中の心拍
F1レーサーはレース中に心拍数が150rpmから190rpmになると言われております。
私の自転車のレース中の心拍数は170~180くらいですが、最高で200rpmを超えることもあります。
今回心拍計を付けてレースに挑みましたのでデータをご覧ください。マセラティ祭り内のタイムアタックでは心拍数はそれほど上がりませんでした。タイムはレース中と大きくは変わらないのですが、レースとは体力的にも精神的にも大きく違うんですね。
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