マセラティクーペ ミッショントラブルメンテナンス
2016年03月27日
ギアに入らなくなってしまい、F1ユニットの交換しか手は無いと診断されたのですが、症状的に以前HPで紹介されていた記事が当てはまりそうなので、修理出来そうですか?と熊本のお客様から問い合わせを頂きました。
症状を確認した結果オーバーホール出来そうな可能性が高いと判断し熊本から陸送で入庫頂きました.。
同時にクラッチ交換等のメンテナンスも行いましたのでレポート致します。
1,症状
(1)前進側のギアは入り、発進及び走行も可能だが2速までしか上がらない。
(2)バックギアに入らない
故障探求の結果F1ユニット内部の損傷であることから判明したのでメンテナンスレポートをお届け致します。
ギアポテンションメーターの不良でも似たような症状になりますのでご注意ください。
作業内容
1、12ヶ月点検整備
2,F1ユニット ロボットアーム脱着/分解/整備
3,クラッチ交換一式
4,F1ポンプ交換
5,エンジンマウント交換
6,ミッションマウント交換
7、ボンネットダンパー交換
8、エンジンオイル交換
ロボタイズギアの修理からご覧ください。
本来非分解の箇所ですが全てばらしてメンテナンスを行っています。
写真右の部分がギアポテンションメーターです。
壊れた箇所は口を開けている箇所の左側のフランジの中になります。
中のパーツが折れてしまうことでギアが一方向にしか動かずバックに入らない状態になっていました。
写真左の欠片が折れたパーツです。
パーツの欠片が見えた瞬間に修理が行える事が確定し、私達も安堵しました。
壊れたパーツをワンオフで製作し組みこんでメンテナンス完了です。
本来はユニット交換となりますので、コストはかなり抑えられます。
F1ユニットが壊れてしまったと!診断を受けた方は是非ご相談ください。ミラコラーレではオーバーホール可能です。(壊れ方にもよります)
クラッチ+カンビオポンプ+エンジンマウント+ミッションマウント交換
こちらが交換したパーツ一式です。
写真左から、クラッチ/ファンレジスター/フライホイール
スラストベアリング/ミッションマウント/カンビオポンプ
クラッチセンサー/エンジンマウント となっております。
マフラー、ミッションを下ろし。
トルクチューブを下ろします。
ベルハウジング
クラッチコンプリート
取り外したクラッチを確認すると、スリットが無くなっている箇所がありかなり極限まで使用されていた事が分ります。
今回はミッショントラブルにより、テスト走行が行えなった為、実走でのフィーリングを確認出来ませんでしたが、かなり滑っていたと思われます。
オーナー様は滑りを感じていたからこそ、今回のメンテナンスと同時にクラッチ交換を依頼頂いたのだとディスクを見た瞬間に確信しました^^
フライホイールもかなり焼きが入っておりました。
普段は見ることが出来ない箇所のハーネスもご覧の通りかなり酷い状態でした。皆さんの車もこっそりと綺麗に修復しておりますのでご安心ください。勿論プレイスレスです^^
こちらが修復後のハーネスの取回しです。
修復前の状態を放置しておくと振動による擦れで被服が破れ思わぬトラブルが発生します。テスターに出ないトラブルが多いため、原因究明に時間が掛ることが多い箇所です。
作業中に見つけた細かい不具合を修復するだけで、大きなトラブルを未然に防げるんです。
エンジンマウント交換
クアトロポルテと違いクーペではエンジンマウントが切れる程劣化しても大きな振動と異音が発生しないことが多く劣化に気が付かないことがあります。そのためハーネス等が引っ張られ2次災害を起すことがありますので、車の年式からも交換をされたことが無い方は是非点検を行う事をお勧め致します。
過去の症例ではエンスト等様々なトラブルが発生しております。
フライホイール
使うのが勿体ないくらい綺麗ですね。
スラストベアリングサポートフランジ
ここにベアリング関連を装着していきます。
スラストベアリング
クラッチコンプリート
クラッチセンサー
リアサスペンションジョイントブーツ
このブーツが切れいていると車検取得が出来ません。
メーカからブーツだけの供給が無いため、アーム毎の交換になりますgは、アームまで交換しなくても良いケースが殆どです。
ユニット交換の場合、パーツ代だけで片側約30万ですので左右を交換すると60万円+工賃とかなり大きな金額になってしまいます。
この車も写真の通りボロボロです。
ブーツの中はグリスが充填されています。
ブーツの交換は本来非分解箇所の為、作業は簡単ではありません。その分工賃も少し掛ってしまいますがトータルでみれば大きなコストダウンになります。
綺麗に清掃行います。
グリスを注入します。
ブーツを装着
装着し作業完了です
続いてステアリングラックブーツの交換です。
こちらもグリスが注入されている箇所で重要保安部品となりますのでブーツが切れていると車検の取得は出来ません。
以上で作業は完了です。
この度は熊本からの入庫ありがとうございました。又何かありましたら宜しくお願い致します。
マセラティのメンテナンスに関するお問い合わせはミラコラーレまでお気軽にお問い合わせください。
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