マセラティグランスポルトクラッチスプリング折れ
2013年07月14日
都内在中にT様。お出かけ先のPにてバックギアに入らないとヘルプ依頼が
入りました。症状を確認すると、バックに入れようとするとギアが戻されるよう
な脈動が起き最終的にカンビオエラーとなりバックに入らない。
ローは入るけどクラッチのつながりが極端に悪いとの事でした。
上記症状のトラブルシュートとメンテナンスレポートを報告いたします。
1,トラブル内容
(1)バックに入らない。
バックにギアを入れても跳ね返されるように「ウン、ウン」と車に振動が
発生する。
(2)ローにはギアが入る。クラッチのミート時いつまでも引きずって、半クラッ
チが続いてしまう感じがする。
ではトラブルシュート及びメンテナンスに関してレポート致します。
今回のようなトラブルは基本的にテスターにはエラーは発生致しません。
従いまして車を動かしての確認作業とリフトアップして故障箇所を探していきま
す。症状から99%原因は分かっているのですが、リフトアップしてクラッチのス
プリングを確認します。
下からクラッチを回転させ違和感がある箇所を見つけるのですが、オーナー
さんに曲がっている箇所を装着した状態で見て頂いても余程酷い状態で無い
と皆さん折れている箇所が分からない本当に微妙なズレが不動につながって
います。
写真中央部の隙間からクラッチ板を覗き確認します。
写真では見にくいですが微妙なズレを目視で確認して異常箇所を探していき
ます。100%クラッチのスプリングと断定出来ないと作業には掛かれないの
で。。。。
より正確に診断出来るようにワンオフでクラッチスプリングが容易に確認出来
る治具を製作しました^^
これで目視では分かりにくかった異常もより正確に見れるようになりました。
取り外したクラッチのスプリングをご覧ください
トラブル箇所は分かりますか?
下の写真であれば分かりやすいと思いますが如何でしょうか?
正解は指で指している箇所です。
スプリングの間隔が他と少し違っているのが分かると思います。
クラッチを分解してスプリングの根本を確認すると写真のように折れて
いたのが確認出来ました。1箇所だけですがこの折れによりクラッチが切れな
くなってしまいます。
下の写真で付け根が割れているのが分かると思います。
この現象はグランスポルト、クアトロポルテで発生する割合が多いです。
記憶の中ではクーペ、スパイダーで発生したことは無いような気がします。
フライホイールも通常の車より少し焼けていました。
クラッチ本体だけを交換する場合も、周辺パーツ全てを交換する場合でも
当社では工賃は同じです^^
今回は周辺のパーツ一式を交換させて頂きました。
カンビオポンプも新車時から交換履歴が無かった為同時交換しております。
左:パイロットベアリング 右:フライホイール
昨日ご紹介したように作業ミスが無いよう完了した箇所のマーキングと
付箋で締め付けトルクを書いて確認作業を行っております。
ベルハウジング内部を取り外し組み立てていきます。
左:ベアリングサポートフランジ 右:クラッチセンサー磁石
組み上げた物をベルハウジングに組み込んでいきます。
トルクチューブを装着して作業は完了です。
力持ちの堀口は楽々と作業を進めていきます。。。。
カンビオポンプ
新車時から交換の履歴が無かった為交換いたしました。
ホースも劣化により亀裂が入っていたため、交換しております。
上:オリジナルシリコーン製カンビオポンプ 下:純正カンビオホース
オリジナルホースの方が耐久性が高く しかもコストも安いです^^
外した物を全て装着し作業は完了です。
作業完了後、車を発進させてT様。
ニコリとして笑みを浮かべ、車購入時からあった発進時の引っかかりが
改善されたと喜んで頂きました^^
私達もスラストベアリングの動きが悪い可能性が高いと思っていたのですが
クラッチのスプリングの劣化による物が影響していたみたいです。
T様 今後も宜しくお願い致します。
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