マセラティクアトロポルテメンテナンス
2012年09月07日
都内在中のK様。
ipodコネクターの装着でご来店頂く予定でしたが、ご来店予定の前日車庫
入れ時にバックギアに入らなくなるトラブルが発生し、急遽メンテナンス入庫
となりましたのでご紹介致します。
症状
(1)バックに入れようとするが、バックに入らない。
(2)Tバーをバック方向に固定し続けると、30秒くらいでバックに入る。
(3)メカニカル的にはバックに入れようとしているが、都度弾かれて大きな
振動が出るる。
(4)最終的にはバックだけでなく、1速にも入らなくなった。
当社HPをご覧頂いている方でしたら、原因は分かったと思います^^
症状を元に故障診断すると、
「ギアは入ろうとするがはじかれて入らない」 (ここがポイントです)
カンビオポンプのトラブルもギアが入らなくなります。
今回の症状とポンプ不良の一番の違いは、ギアが入ろうとするが弾かれる。
ポンプ不良の場合は、ギアは全く動きません。
参考までにカンビオポンプトラブルの場合、かなり高い確率で、ポンプフュー
ズが飛んでいます。
では回答をメンテナンス内容を元に紹介いたします。
症状から原因はほぼ特定できていますが、確定するため車をリフトアップし
ベルハウジングの隙間からクラッチのスプリングを覗き込みます。
予想通りクラッチのスプリングが一部曲がっているのが確認出来ました。
K様にも見ていただき、ご説明しましたが「正直分かりません」と・・・・・・
確かに下から覗き込んでほんの少し見えるだけの箇所で、更に正常な状態の
スプリング比較してもほんの少しずれているだけですので、見慣れないと分か
らないかもしれません。
本当にクラッチのスプリングが折れているかは、バラシさないと最終確認は
できません。確認作業はクラッチ交換と同じ工程を行う必要があります。
マフラーを外し、トルクチューブ、トランスアクスルを下ろします。
左:トルクチューブ 右:トランスアクスル
丁度この日はクラッチ交換を同時に行っていたため、堀口がトルクチューブを
一人で持ち上げ力自慢を^^
軽そうに見えますが、結構な重さがありますので絶対に真似しないでください(笑)
ベルハウジングを外すと、クラッチのスプリング部分が見えてきます。
スラストベアリングで押される部分が通常と異なる色に変色していました。
下の写真を良く見ると、ギアが入らなくなった原因箇所が分かると思います。
今度はもう少し分かりやすい写真をご覧ください。
如何ですか?
下の写真で分かりますでしょうか?
更にアップ画像をご覧ください。
下の写真は分かりやすいと思います。
異常箇所に丸印を付けてみました。
スプリングの奥は折れておりました。
たった1箇所ですが、折れてしまうとギアが入らなくなります。
このトラブルは多く発生しているのですが、テスター上にはスプリング折れの
エラーは出ないため、僅かな隙間から覗きこんで、ほんの少しのズレで判断
するしかありません。
スプリングはそう簡単には折れる物ではありません。
スプリングが折れたクラッチはやはり摩耗も激しいケースが多いです。
クラッチ板より、スプリングが先にダメになってしまう事も多いです。
写真の通りクラッチ板もかなり摩耗していました。
こちらが新品のクラッチです。
スリットの深さが全然違うのが分かると思います。
フライホイールもいい感じで焼きが入っています。
パイロットベアリングもかなり劣化しています。
交換後 パイロットベアリング
交換したパーツ一式
左:フライホイール 右:スラストベアリング
クラッチ位置センサー用磁石も交換します。
ベルハウジングに組み込んで完了です。
カンビオポンプ
ポンプも完全に変色し外観からも劣化の状態が分かります。
交換パーツ一式
Tバーリバーススイッチ
正常な状態で乗られている方は問題ないのですが、購入時から故障している例が多いスイッチです。本来バックに入れるにはTバーを持ち上げて後ろに
引くのですが、壊れている時はプラプラしており、そのまま後ろに下がってしま
います。
壊れていても問題ないと云われる方も多いのですが、ポジションが悪い場合は
セルが廻りませんので注意が必要です。
Tバーの付け根の部分はプラスティックで固定されています。
強い力が掛かると割れてしまい、プラプラになってしまいます。
スタンドでの洗車、ゴルフ場、ホテル等で車を渡す際は無用なトラブルを
裂けるため、操作方法を説明される事をお勧め致します。
以上で今回のメンテナンスは完了です。
K様ありがとうございました!
今後も宜しくお願い致します。
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