☆症状
　（１）エンジンは始動する。
　（２）ギアも入る
　（３）発進しようとすると、エンジンの回転だけが上がり前に進まない。
　（４）バックも同様の症状
走行２７７００ｋｍでクラッチは一度も交換していない。

明らかにクラッチが滑っているような感覚ですが、マセラティの場合クラッチの
摩耗でいきなり不動に陥る事は少ない為、他の原因も視野に入れながら故障診断を行っていきます。
（ガヤルドは滑り始めたと気付いたら即不動になるケースが多いので
　ご注意ください）

メンテナンスの様子をご覧ください。

症状からクラッチ廻りであることを断定し、クラッチの取り外し作業に
掛かります。


トルクチューブを下ろします。


ベルハウジングを取るとクラッチが見えてきます。
右がクラッチですが、当社HPを良くご覧頂いている方は、写真から
何となく故障箇所が分かると思います。



取り外したクラッチのアップ写真をご覧ください。
間違い探しクイズの要領で見るとおかしな部分に気がつくと思われます。



角度を変えて見ると更に分かりやすいと思います。



２枚の写真を見た後だと違いがはっきり分かりませんか？



写真は新品のクラッチです。
スプリングが綺麗に等間隔になっています。



これが原因です。



クラッチのスプリングの根本が折れていた事によりクラッチが
切れなくなっていたのです。
クアトロポルテの場合は、ギアが弾かれて入らなくなるのですが
グランスポルトの場合は、クラッチが滑っているようになります。



ディスク側の写真をご覧ください。
こちらも距離相応にかなり摩耗しています。
交換前のテスター診断でも７４％（使用率をさします）ともうゼロに
近い数値になっていました。（残量２０％＝０％です）



原因が確定しましたので、後は組み込むだけです。

今回交換したパーツ一式となります。



異音の原因となるパイロットベアリングもかなり劣化しておりました。



フライホイールを装着



クラッチ



可動部となるスラストベアリングを組み立てます。
スラストベアリングのシールも劣化が進み、オイルが滲んでいました。



クラッチセンサーの受け側の磁石も交換します。





クラッチセンサーも交換して作業完了です。

カンビオポンプ交換

交換履歴が無いこと、作動音が弱い事から交換させて頂きました。
毎年夏になるとポンプの故障で不動になってしまう車が多発致します。
５年を目処に交換されることをお勧め致します。




左：新品　右：使用済


カンビオホースも劣化によりヒビが入っています。






カンビオホースはシリコン製の対策品に交換します。



交換後、テスターでオイルラインのエアー抜きを行い完了です。

オイル漏れ修理

お車をお預かりして作業に入る前の点検中にオイル漏れ修理がありましたの
で同時にメンテナンスを施工致しました。
漏れ箇所はタペットカバーからの漏れです。
エキマニ、触媒に垂れたオイルが回り込み火災の原因につながるため
早期のメンテナンスをお勧め致します。




赤いヘッドカバーを外してガスケットを交換します。



ヘッドカバーを外したこの状態とても素敵です。



取り外したヘッドカバーを綺麗に洗浄します。






黒いのがガスケットです。



新品のガスケットとプラグ。




エンジンルームが綺麗だと何か嬉しくなります。




これでオイル漏れ修理は完了です。

エンジン異音
作業完了後ロードテスト中にエンジンのタペット音が大きいだけでなく、
６０００ｒｐｍまで廻してアクセルを抜くと油圧低下のエラーが発生。
お客様に確認するとエンジンの異音は前から気になっていたが、
改善される様子が無かったのでそのままにしていたとの事。
エンジン廻りを確認すると
・エンジンオイルの量が多い。
・オイルの品質？　何か違和感があります。

キチンとしたエンジンオイルと適量を入れることで改善される事が
多いので相談した結果エンジンオイル交換を実施しました。

エンジンオイル交換を行った結果。

油圧低下、異音共に綺麗に無くなりました。

たかが、エンジンオイルですが、非常に重要ですのでご注意ください。

以上で作業は完了です。
O様遠方からの入庫ありがとうございました。

早速・・・エンジンを暖めて走らせてみました・・・・・？？？？？
あれ？？

クラッチのダイレクト感が違います！少し乗っただけでわかりました。
かなりスムーズにつながります。今まではなんだったのか？と思いました。
さらに、実車にあわせてクラッチ調整をしていただいていましたので、クラッチ
のつながる時間が短く感じました。実際に短くなっていました。
バック や発進時も半クラッチの状態が少ないので、運転も楽になりました。

また、プラグを変えたことでエンジンのツキが鋭くなったようです。
怠っていたオイルも本来の品質の物に変えたことで、タペット音もですが、
振動も減ったようです。
エンジンルームを覗くと・・・きれいなヘッドカバーが・・・・
やはり、エンジンルームはきれいに磨いておかないといけませんね。
きれいだと、どことなく気持ちがいいです。

昔はよく磨いていたんですが、最近怠っていたことに反省です(笑)

今回は、ネットを通してミラコラーレ様を知り、突然のトラブルでしたが思い
切って陸送で横浜まで運んでメンテナンスを依頼しましたが、スタッフの方々
の丁寧な対応と、詳しい知識に満足と感謝です。

今後ともよろしくお願いいます。
最近は、九州でもマセラッティが増えてきたといいますが、まだまだ台数が
少なく、また、相談事があればさせてください。

又何かありましたら宜しくお願い致します。」


O様ありがとうございました。
今後も宜しくお願い致します。