マセラティスパイダーメンテナンス+マフラー交換
2010年10月28日
都内在中のM様。
カンビオECUとDMS ECUチューンのインストールを希望されたおりましたが
お話しを聞いていく中で、車の調子が思わしくない事が判明したため、メンテナ
ンスを先に実施させていただきましたのでご紹介致します。
今回ご紹介する症例は、多くのクーペ、スパイダーに当てはまりますので
参考事例として見て頂ければ幸いです。
早速メンテナンス内容からご説明致します。
1,トラブル内容
(1)エンストする
交差点に右折で進入するとエンストを起こす事がある。
(2)カンビオエラー
走行中アラームが鳴り、シフトがニュートラルになる。
その後暫くの間ギアが入らなくなる。
常時発生するのでなく、たまに出る。
M様のお車は当社への入庫は初めてでしたが、ヒアリングと記録簿のデータから既に、この症状に関連するパーツは全て交換されていると言っても大げさ
では無い状態まで手が入れられています。
費用的にもかなりの金額が・・・・・・・・
確認すると、他社で何回もメンテナンスを実施したのだけど、一向に良くならないので・・・・・・
NETで見て何とかしてくれそうだから、何とかしてください!との依頼に
お時間を頂ける事を前提に引受させて頂きました。
トラブルは常時出るわけでは無いので、徹底的に乗って悪いところを消してくださいとの依頼ですが・・・・・・
最近似たような話での入庫が非常に増えています。
既に多額のメンテナンス代を払われ、かつ考えられるパーツも殆ど交換済み
であるケースが多いため、その状態から完調にするのはかなり大変ですが、
難しい案件程スタッフは燃えます!
2,テスト走行
テスト走行を繰り返し行っても再現性は全くありません。
勿論テスター診断を行ってもエラーはありません。
しかしながらテスト走行中、顕在化していない不具合箇所が見えてきました。
(1)直進安定性が悪い
高速でフラフラしてしまい、常にステアリングの修正が必要。
(2)エンジンの吹けが少し重たい、悪い・・・・・ような気がする。
テスター及びインフォメーションディスプレイ上でエラーは出ていない。
(3)変速タイミングが明らかに遅い=半クラッチが長い
(4)発進時に急発進してしまう。
クラッチミート後にもう一回つながるようなポイントがあり、ギクシャクする。
上記4項目に関して、オーナー様に症状をお伝えすると、
「最初からこんな感じだったので気にならなかった」との回答でした。
「きっちり調整することで違う車に生まれ変わります」とのご提案に
了承頂き、作業しましたので順を追ってご紹介させて頂きます。
☆直進安定性が悪い☆
60kを超えると常にハンドルを修正しないと真っ直ぐ走らない。
速度差はありますが多くのクーペ、スパイダーに見られる現象です。
オーナーの方は最初からそうだと、普通なんだと思ってしまうケースが殆ど
です。
購入されたショップにクレーム又は相談しても、「マセラティはこんなもんで
す」と回答されるケースが多く(笑)納得してしまう方が殆どみたいですが・・・・
M様に症状を説明しても「最初からこんな感じだったので、気にしたことは無
い」との回答でしたが、挙動が明らかにおかしい為、アライメント調整と車高
調整をさせて頂きました。
☆トーインのズレ☆
前輪の片側が完全に外を向いていたため、車がフラフラしていた事が判明。
アライメントもずれていたので調整しましたが、もう一つおまけが・・・・・
車高が4輪ともバラバラでした。
車高に関しては、この車に限った事でなく新車時から4輪とも車高が違う比
率が非常に高いです。。。。。。
一度メジャーで4輪の車高を測定してみてください。
誤差が大きな車では1cmくらいずれている事が多々あります。
調整後テスト走行を行うと・・・・・
ピタッと決まりました。調整前は運転していてイライラしましたが、気持ち良く
乗れるように。。
オーナー様の感想も、、、、こんなに違うんだと驚いていました。。
☆エンジンの吹けが悪い☆
テスト走行中エンジンの吹けが少し悪いような気が・・・・・・・
フィーリングの問題と済ます事が出来る範囲ですが、
かなりの台数のスパイダー、クーペグランスポルトを乗って来ましたので
好調な状態は感覚的に把握しているつもりです。
エアフローセンサーもエンジンの吹けに大きな影響を及ぼしますが、エアフロ
ーの症状ではありません。
ブリッピングをするとかすかな異音が。。。。。。。。。
キャタ=触媒の割れを疑いマフラーを外すと・・・・
見事に触媒が割れていました。
通常触媒の割れはチェックエンジン等のエラーが点灯します。
ここで問題です。
触媒が写真のように割れているにも係わらず、何故エラーが出なかった
のでしょうか?
☆ヒント
クーペ系の触媒は下の写真の通り2つ付いています。
上側がエンジン奥がリアになります。
汚い字で・・・1thと書かれているのがエンジンから出て直ぐの触媒です。
この触媒の前後に黒い線が見えているのがO2センサーです。
このヒントで多くの方が分かったのではないでしょうか。
センサーの位置が大きなヒントになります。
エンジンからの熱い排気が直接あたるのが1thキャタです。
通常はエンジンに近い方の触媒が熱の影響を大きく受け壊れます。
この部分は異常をきたすと、O2センサーが検知してアラートを出します。
今回はセカンダリーと呼ばれる後ろ側の触媒が壊れていました。
こちらにはセンサーが付いていない為、触媒に異常をきたしても、エラーが
発生しないのです。
セカンダリーが割れるのはレアケースですが、割れた触媒が詰まってしまい
レスポンスが悪くなっていたようです。
テスターだけでは分かりにくい故障です。
この部分を純正交換すると飛んでもない金額になりますので、
今回はBERTOCCHIのフロント+センターに交換させて頂きました。
純正品の約半分の価格で、サウンドも良くなりエンジンレスポンスも向上します。その上車検対応ですので、リペア用としてもお使い頂けます。
この車は02年式、走行距離18000k
キャタクラッシュは走行距離にも多く影響しますが、走行距離は短いので
今回は年数による経年劣化によるトラブルになります。
02年式、03年式にお乗りのお客様は足下から異音がしているようでし
たらこの部分を疑ってください。
関連記事はこちらをご覧ください。
ここをクリック
そして根が深い部分の故障探求を始めていきます。
エンスト。。。
走行中に止まりそうな速度になるとエンストする事が多い。
特に右折時に多発すると・・・・
何回か見て貰ったんだけど全然良くならないので何とかして欲しいとの
事でしたが・・・・・
過去の作業明細を拝見すると・・・・・・
ほぼ全てのパーツが交換されています・・・・・
でも一番重要と思われるパーツが交換されていませんでした。
当社では過去に事例がありましたので、パーツを交換すると見事にエンスト
は解消されました。
どこのパーツかは企業秘密です(笑)
ここまでのメンテナンスを終えた後テスト走行をしていると、かなり車は良く
なったのですが、まだしっくりきません。
スパイダーはもっと楽しい車のはずなのにと情報を整理すると・・・・・
☆F1マチックに違和感がある☆
違和感と言われても千差万別なのでもう少しかみ砕いて説明すると。
(1)ミッション関係
☆発進時クラッチミートが上手くいかない。
慎重にアクセルワークを行わないと急発進する!
☆クラッチミート後尺取り虫のようになる事がある。
つながったと思って、アクセルを踏み込むとガクン、ガクンする。
☆変速速度が遅すぎる。
半クラッチの時間が異様に長く気持ち悪い。
この現象は02年式の車で多発しています。(キーの柄の部分が黒い車)
特に発進時に2段階スタートのようになったり、アクセル操作を少しラフにする
と発生します。
02年式だからと諦めないでください!
きちんとセッティングすれば非常に乗りやすい車に激変します。
このような現象でお困りの方は、是非ご相談ください。
まれにハードウエアの劣化により発生している事もありますが、必ず満足頂け
るように調整させていただきます!
☆カンビオエラー☆
走行中ギア抜けと共にカンビオエラーのアラームが出てシフトが入らなくなる。
常時出るわけでなく、タマに出る。暫く経つと自然復帰する。
これは本当に苦労しました。
通常カンビオポンプ、F1センサーの故障が原因と想定されるのですが、
記録簿を見ると既に交換されています。
しかもF1センサーは2回も交換されており・・・・・
テスト走行を繰り返し行っても現象は出ません。
考えられるところ精査し納車すると、決まって3日後にエラーが発生。
再度電機系を中心にカンビオエラーを発生させる原因を追いかけ・・・
TCUを疑い他のお客様からお借りして装着・・・・・・
カンビオECUを装着すれば直るかと装着・・・・・・・・
何をやってもエラーが発生。。。。
サジを投げかけた所、工場長の発案で「とある部分の配線の引き直し」を行っったらどうかとの意見に・・・・・・・
実行し更に関連する部位を再セッティング。
納車後現時点ではエラーは出ていません^^
このまま修理完了!となってくれれば良いのですが。。。
メンテナンス後M様より感想をいただきました。
車が生まれ変わりました!
凄く良い状態に。メンテナンスと調整だけでこんなに良くなるとは信じられない
ほどです。これが本来の車のポテンシャルなんですね。
直進安定性が悪いとか、エンジンのレスポンスが悪いとか言われたとき
正直認識していなかったのですが、別物になったのには驚きました。
メンテナンス前は高速で踏み込むと怖かったのがかなり、踏み込めるように
なりました。こんな車なのかとの先入観だけで見てはダメですね(笑)
車本来の状態を知ってる人に乗ってもらい判断してもらうことの重要性を認識
しました。
しかしセッティングだけでこんなに車が変わるもんだとは思って無かったので
驚きです。あとはカンビオエラーが消えれば完璧ですね。
今のところ大丈夫なようなのでこのまま出ないことを祈っています。
M様色々とありがとうございました。
安心して全開に出来る車に仕上げましたので、カンビオエラーが出ないようで
あれば、ECUチューンを実行させてください。
☆今回のメンテナンスにご協力頂きました、N様、K様本当に
ありがとうございました。
わざわざお休みを取って、二人でご来店頂いたときはスタッフ一同
涙が止まりませんでした。 本当に助かりました。
特にN様には何回もご来店及び車を提供頂きお礼の言葉も見つかりませ
ん。スタッフ一同心から感謝申し上げます。今後も宜しくお願い致します。
当社ではカスタマイズだけでなく、メンテナンスも行っております。
お車の気になる点などがありましたら何なりとお問い合わせください。
お問い合わせは
Tel:045−849−3031
mail:info@miracolare.co.jp